この記事では、独立分詞構文を解説していきます。
独立分詞構文の説明に入るまえに、まずは分詞構文の基本を振り返ってみましょう。
分詞構文とは、現在分詞や過去分詞を用いて文に情報を付け加えるものです。
このように、現在分詞や過去分詞がカタマリを作って、文(主節)に情報を付け加えるのが分詞構文です。
例文を見てみましょう。
分詞構文の基本的な例文
Walking to the park, I saw a beautiful bird.
公園へ歩いているとき、美しい鳥を見ました。
この例文では、I saw a beautiful bird.という文(主節)に、Walking to the parkという分詞構文のカタマリが付け加えられています。
「私は美しい鳥を見た」という文に、「公園へ歩いているとき」という情報が付け加えられていますね。
この例文では、Walking to the park「公園へ歩いているとき」という分詞構文のカタマリが、I saw a beautiful bird「私は美しい鳥を見た」という主節に情報を付け加えています。
Walking to the parkの主語は書かれていませんが、この場合は主節の主語であるIがWalking to the parkの主語にもなります。
つまり、「私が公園へ歩いているとき、私は美しい鳥を見た」という意味になります。
分詞構文の説明は以下のページで詳しく解説しています。
関連記事:
分詞構文の作り方・訳し方・意味をわかりやすく解説!
独立分詞構文は、分詞構文の一種です。
通常の分詞構文では、分詞構文のカタマリには主語を置かず主節の主語がそのまま分詞構文の主語になりますね。
先の例文である「Walking to the park, I saw a beautiful bird.」では、Walking to the parkの主語は、Iです。
しかし、独立分詞構文では、分詞構文のカタマリに主語を置くことができます。
このように、分詞構文のカタマリに主節の主語とは別の主語を置くことで、独立分詞構文を作ることができます。
例文を見てみましょう。
独立分詞構文
Her father reading a book, she forgot to cook dinner.
彼女の父が本を読んでいる間に、彼女は夕食を作るのを忘れた。
上記の例文では、Her father reading a book「彼女の父が本を読んでいる」という分詞構文のカタマリに主語(Her father)が置かれています。
このHer father reading a bookが独立分詞構文です。
「彼女の父が本を読んでいる間に」という意味の情報を、主節のshe forgot to cook dinner「彼女は夕食を作るのを忘れた」に付け加えています。
この例文では、主節の主語はshe「彼女」ですが、分詞構文のカタマリの主語はHer father「彼女の父」と、主語が異なっていますね。
このように、分詞構文のカタマリの先頭に主語を置くことで、独立分詞構文を作ることができます。
以下の2つの英文を比較してみましょう。
問. 下線部の主語を考えてみましょう。
1 Smiling gently, the woman calmed the crying child. (分詞構文)
2 Her face smiling gently, the woman calmed the crying child. (独立分詞構文)
上の文は普通の分詞構文ですが、下の文は独立分詞構文です。
下の英文の主語は書いてあるとおりHer faceですね。
上の英文は普通の分詞構文なので、主節の主語がそのまま分詞構文の主語になります。
なので、主語はthe womanになります。
答え
1 the woman
(その女性は)やさしく微笑みながら、その女性は泣いている子供を落ち着かせた。
2 her face
彼女の顔はやさしく微笑みながら、その女性は泣いている子供を落ち着かせた。
意味的にはほぼ同じですが、下の英文ではHer faceが主語として明示されていますね。
分詞構文
Smiling gently, the woman calmed the crying child.
やさしく微笑みながら、その女性は泣いている子供を落ち着かせた。
この例文は、通常の分詞構文です。
Smiling gently「やさしく微笑みながら」という分詞構文のカタマリが、the woman calmed the crying child「その女性は泣いている子供を落ち着かせた」という主節に情報を付け加えています。
Smiling gentlyの主語は書かれていませんが、この場合は主節の主語であるthe womanがSmiling gentlyの主語にもなります。
つまり、「その女性がやさしく微笑みながら、その女性は泣いている子供を落ち着かせた」という意味になります。
独立分詞構文
Her face smiling gently, the woman calmed the crying child.
彼女の顔はやさしく微笑みながら、その女性は泣いている子供を落ち着かせた。
この例文は、独立分詞構文です。
Her face smiling gently「彼女の顔はやさしく微笑みながら」という分詞構文のカタマリが、the woman calmed the crying child「その女性は泣いている子供を落ち着かせた」という主節に情報を付け加えています。
この例文では、主節の主語はthe woman「その女性」ですが、分詞構文のカタマリの主語はHer face「彼女の顔」と、主語が異なっていますね。
このように、分詞構文のカタマリの先頭に主語を置くことで、独立分詞構文を作ることができます。
weather permitting
Weather permitting, we will go on a picnic tomorrow.
天気が良ければ、明日ピクニックに行きます。
この例文では、Weather permitting「天候が許す限り」という独立分詞構文が、we will go on a picnic tomorrow「私たちは明日ピクニックに行きます」という主節に情報を付け加えています。
Weatherが主語、permittingが現在分詞で、「天候が許すなら」という意味です。
つまり、「天候が許すなら、私たちは明日ピクニックに行きます」という意味になります。
Weather permittingは慣用表現としてよく使われます。
all things considered
All things considered, this is a great opportunity.
すべてを考慮すれば、これは素晴らしい機会です。
この例文では、All things considered「すべてを考慮すれば」という独立分詞構文が、this is a great opportunity「これは素晴らしい機会です」という主節に情報を付け加えています。
All thingsが主語、consideredが過去分詞で、「すべてのことが考慮されると」という意味です。
つまり、「すべてのことを考慮すると、これは素晴らしい機会です」という意味になります。
All things consideredも慣用表現としてよく使われます。
all other things being equal
All other things being equal, this is the best option.
ほかの条件が同じならば、これが最良の選択です。
この例文では、All other things being equal「他のすべてのことが等しいならば」という独立分詞構文が、this is the best option「これが最良の選択です」という主節に情報を付け加えています。
All other thingsが主語、beingが現在分詞、equalが形容詞で、「他のすべてのことが等しいならば」という意味です。
つまり、「他のすべてのことが等しいならば、これが最良の選択です」という意味になります。
All other things being equalも慣用表現としてよく使われます。
such being the case
Such being the case, we need to change our plans.
そういうわけで、私たちは計画を変更する必要があります。
この例文では、Such being the case「そういうわけで」という独立分詞構文が、we need to change our plans「私たちは計画を変更する必要があります」という主節に情報を付け加えています。
Suchが主語、beingが現在分詞、the caseが名詞で、「そういうわけで」という意味です。
つまり、「そういうわけで、私たちは計画を変更する必要があります」という意味になります。
Such being the caseも慣用表現としてよく使われます。
それでは、独立分詞構文の例文を見てみましょう。
独立分詞構文が日常会話で使われる場合は、際にはかなり限られています。
というのも、独立分詞構文はフォーマルな書き言葉で多用される傾向があり、話し言葉では簡潔で直接的な表現が好まれるからです。
ただし、以下のような場面では、独立分詞構文が比較的自然に使用される場合があります。
政治家や公的な発言の中で、洗練された印象を与えるために使用されることがあります。
公式声明での独立分詞構文の使用例
The negotiations concluded, both parties agreed to sign the deal.
交渉が終了し、双方が契約に署名することで合意した。
この例文では、The negotiations concluded「交渉が終了し」という独立分詞構文が、both parties agreed to sign the deal「双方が契約に署名することで合意した」という主節に情報を付け加えています。
The negotiationsが主語、concludedが過去分詞で、「交渉が終了した」という意味です。
つまり、「交渉が終了し、双方が契約に署名することで合意した」という意味になります。
雰囲気を作り出すために使用されることがあります。
小説での独立分詞構文の使用例
Her arms folded, she stood silently by the window.
腕を組んで、彼女は窓のそばに黙って立っていた。
この例文では、Her arms folded「腕を組んで」という独立分詞構文が、she stood silently by the window「彼女は窓のそばに黙って立っていた」という主節に情報を付け加えています。
Her armsが主語、foldedが過去分詞で、「彼女の腕が組まれた」という意味です。
つまり、「彼女の腕が組まれた状態で、彼女は窓のそばに黙って立っていた」という意味になります。
それでは、独立分詞構文の練習問題を解いてみましょう。
鈴木洋一朗 / Yoichiro Suzuki
大学では言語学(生成文法理論)を学び、学習塾や予備校で10年間英語教育に従事。その後、IT企業でマーケティング、プロダクト開発などを担当。2016年に当サイトを開設。