分詞構文の種類と見分け方を徹底解説|意味・例文・一覧付き
目次
分詞構文とは?基本と種類を学ぶメリット
分詞構文とは、従属節を簡略化した表現方法で、英語の文をより簡潔で洗練されたものにする重要な文法項目です。本来なら接続詞(when, because, if, thoughなど)と主語、動詞を使って表現する内容を、分詞を使って短くまとめる技術です。
分詞構文を学ぶメリットは数多くあります。まず、複雑な内容を簡潔に表現できるようになるため、英文の読解力が向上します。また、自分で英語を書く際にも表現の幅が広がり、より自然な英語が書けるようになります。
分詞構文の例
When I was walking in the park, I saw a beautiful bird.
公園を歩いているとき、美しい鳥を見ました。
↓ 分詞構文を使うとこのように簡潔になります
分詞構文の例
Walking in the park, I saw a beautiful bird.
公園を歩いているとき、美しい鳥を見ました。

【一覧表】分詞構文の種類と意味
分詞構文には様々な種類があり、それぞれ異なる意味合いを持っています。以下の表で種類別に整理しました。
分詞構文の種類1:時を表す分詞構文
時を表す分詞構文は、主節の動作がいつ行われたかを示します。「~するとき」「~している間」という意味合いを持ち、接続詞のwhen, whileに相当します。文の流れの中で時間的関係を簡潔に表現できる便利な構文です。
時を表す分詞構文
Walking along the river, I saw a dolphin.
川沿いを歩いているとき、イルカを見ました。
この文は「When I was walking along the river, I saw a dolphin.」という意味です。分詞構文の部分(Walking along the river)が、主節の動作(I saw a dolphin)がいつ行われたかを示しています。

時を表す分詞構文:例文と見分け方のコツ
時を表す分詞構文を見分けるには、次のようなコツがあります。
- 分詞構文を「when/while + 主語 + 動詞」に書き換えられるか確認する
- 主節の動作と時間的に近い関係にあるか確認する
- 文脈から「~するとき」「~している間」という意味が成り立つか考える
時を表す分詞構文の例1
Hearing the news, she burst into tears.
そのニュースを聞いたとき、彼女は涙を流した。
この例文は「When she heard the news, she burst into tears.」と書き換えられます。ニュースを聞いたという動作と涙を流したという動作が時間的に近く、「いつ涙を流したか」を示していることから、時を表す分詞構文だとわかります。
時を表す分詞構文の例2
Looking out of the window, I noticed it was snowing.
窓の外を見たとき、雪が降っていることに気づいた。
時を表す分詞構文の例3(過去分詞)
Surrounded by fans, the actor couldn't move forward.
ファンに囲まれているとき、その俳優は前に進めなかった。

分詞構文の種類2:理由を表す分詞構文
理由を表す分詞構文は、主節の動作や状態が起こった理由を示します。「~なので」「~だから」という意味合いを持ち、接続詞のbecause, since, asに相当します。
理由を表す分詞構文
Being tired, I went to bed early.
疲れていたので、早く寝ました。
この文は「Because I was tired, I went to bed early.」という意味です。分詞構文の部分(Being tired)が、主節の動作(I went to bed early)が起こった理由を示しています。

理由を表す分詞構文:例文と見分け方のコツ
理由を表す分詞構文を見分けるには、次のようなコツがあります。
- 分詞構文を「because/since + 主語 + 動詞」に書き換えられるか確認する
- 分詞構文の部分が主節の動作の原因になっているか確認する
- 文脈から「~なので」「~だから」という意味が成り立つか考える
理由を表す分詞構文の例1
Not having enough money, he couldn't buy the car.
十分なお金を持っていなかったので、彼はその車を買えませんでした。
この例文は「Because he didn't have enough money, he couldn't buy the car.」と書き換えられます。お金を持っていなかったことが車を買えなかった原因になっていることから、理由を表す分詞構文だとわかります。
理由を表す分詞構文の例2
Knowing she was right, he apologized immediately.
彼女が正しいと知っていたので、彼はすぐに謝りました。
理由を表す分詞構文の例3(過去分詞)
Disappointed by the result, the team decided to practice harder.
結果に失望したので、チームはもっと一生懸命練習することにしました。

分詞構文の種類3:条件を表す分詞構文
条件を表す分詞構文は、「もし~ならば」という仮定的な状況を示します。接続詞のifに相当し、ある条件が満たされた場合に起こりうる結果を表現します。
条件を表す分詞構文
Studying hard, you will pass the exam.
一生懸命勉強すれば、あなたは試験に合格するでしょう。
この文は「If you study hard, you will pass the exam.」という意味です。分詞構文の部分(Studying hard)が、主節の結果(you will pass the exam)が起こるための条件を示しています。

条件を表す分詞構文:例文と見分け方のコツ
条件を表す分詞構文を見分けるには、次のようなコツがあります。
- 分詞構文を「if + 主語 + 動詞」に書き換えられるか確認する
- 主節が未来のことや可能性を示しているか確認する
- 文脈から「~すれば」「~ならば」という意味が成り立つか考える
条件を表す分詞構文の例1
Taking this medicine regularly, you'll get better soon.
この薬を定期的に飲めば、すぐに良くなるでしょう。
この例文は「If you take this medicine regularly, you'll get better soon.」と書き換えられます。薬を定期的に飲むという条件が満たされれば、良くなるという結果が得られることから、条件を表す分詞構文だとわかります。
条件を表す分詞構文の例2
Working together, we can finish this project by tomorrow.
一緒に作業すれば、明日までにこのプロジェクトを終わらせることができます。
条件を表す分詞構文の例3(ビジネスシーン)
Meeting the deadline, we will receive a bonus from the client.
期限を守れば、クライアントからボーナスをもらえるでしょう。

分詞構文の種類4:譲歩を表す分詞構文
譲歩を表す分詞構文は、「~にもかかわらず」という意味を表し、接続詞のthough, althoughに相当します。予想される結果とは逆の結果が生じる状況を描写するときに使います。
譲歩を表す分詞構文
Knowing the risks, he still went climbing alone.
危険性を知っていたにもかかわらず、彼はひとりで登山に行きました。
この文は「Although he knew the risks, he still went climbing alone.」という意味です。分詞構文の部分(Knowing the risks)が、主節の動作(he still went climbing alone)にもかかわらず行われたことを示しています。

譲歩を表す分詞構文:例文と見分け方のコツ
譲歩を表す分詞構文を見分けるには、次のようなコツがあります。
- 分詞構文を「although/though + 主語 + 動詞」に書き換えられるか確認する
- 主節と分詞構文の内容に矛盾や対比の関係があるか確認する
- 文脈から「~にもかかわらず」という意味が成り立つか考える
- 主節に「still」「yet」「nevertheless」などの語があるか確認する
譲歩を表す分詞構文の例1
Being only sixteen, she has already published three novels.
まだ16歳にすぎないにもかかわらず、彼女はすでに3冊の小説を出版しています。
この例文は「Although she is only sixteen, she has already published three novels.」と書き換えられます。16歳という若さにもかかわらず、すでに3冊も小説を出版しているという予想外の結果を示していることから、譲歩を表す分詞構文だとわかります。
譲歩を表す分詞構文の例2
Working all day, she still had energy to go dancing.
一日中働いたにもかかわらず、彼女はダンスに行くエネルギーがありました。
譲歩を表す分詞構文の例3(過去分詞)
Born in a poor family, he nevertheless became a successful businessman.
貧しい家庭に生まれたにもかかわらず、彼は成功したビジネスマンになりました。

分詞構文の種類5:付帯状況を表す分詞構文
付帯状況を表す分詞構文は、主節の動作と同時に起こる状況や様子を表します。「~しながら」「~して」という意味合いを持ち、接続詞のandに相当します。
付帯状況を表す分詞構文
She sat on the bench, reading a book.
彼女はベンチに座って、本を読んでいました。
この文は「She sat on the bench and (she was) reading a book.」という意味です。分詞構文の部分(reading a book)が、主節の動作(She sat on the bench)と同時に起こっている様子を示しています。

付帯状況を表す分詞構文:例文と見分け方のコツ
付帯状況を表す分詞構文を見分けるには、次のようなコツがあります。
- 分詞構文を「and + 主語 + 動詞」に書き換えられるか確認する
- 主節の動作と分詞構文の動作が同時に起こっているか確認する
- 文脈から「~しながら」「~して」という意味が成り立つか考える
- 分詞構文が主節の後に置かれていることが多い
付帯状況を表す分詞構文の例1
He walked down the street, whistling happily.
彼は通りを歩きながら、楽しげに口笛を吹いていました。
この例文は「He walked down the street and (he was) whistling happily.」と書き換えられます。歩くという動作と口笛を吹くという動作が同時に行われていることから、付帯状況を表す分詞構文だとわかります。
付帯状況を表す分詞構文の例2(結果)
The vase fell off the shelf, breaking into pieces.
花瓶は棚から落ちて、粉々に割れました。
付帯状況を表す分詞構文の例3(手段)
She improved her English, practicing every day.
彼女は毎日練習して、英語を上達させました。

分詞構文の種類を見分ける3つのコツ【まとめ】
分詞構文の種類を見分けるための重要なポイントを3つにまとめました。
コツ1:接続詞に置き換えてみる
分詞構文は元々接続詞を含む従属節を簡略化したものです。そのため、どの接続詞に置き換えられるかを考えると、分詞構文の種類が見えてきます。
- 時:when, while(~するとき、~している間)
- 理由:because, since(~なので、~だから)
- 条件:if(~ならば、~すれば)
- 譲歩:although, though(~にもかかわらず)
- 付帯状況:and(~しながら、~して)
コツ2:文脈と論理関係を読み取る
分詞構文と主節の間にどのような論理関係があるかを考えます。
- 時間的関係がある → 時を表す分詞構文
- 因果関係がある → 理由を表す分詞構文
- 仮定と結果の関係がある → 条件を表す分詞構文
- 対立・矛盾の関係がある → 譲歩を表す分詞構文
- 同時進行や様態の関係がある → 付帯状況を表す分詞構文
コツ3:日本語に訳してみる
分詞構文を日本語に訳してみると、その種類がわかりやすくなります。
- 「~するとき」「~している間」 → 時
- 「~なので」「~だから」 → 理由
- 「~すれば」「~ならば」 → 条件
- 「~にもかかわらず」「~だけれども」 → 譲歩
- 「~しながら」「~して」 → 付帯状況

分詞構文の作り方(書き換え):基本ステップと注意点
分詞構文の作り方を、基本的なステップに分けて説明します。
基本ステップ
- 元の2つの文に共通する主語を確認する
- 従属節から接続詞と主語を削除する
- 動詞を適切な分詞形に変える
- 能動的な意味 → 現在分詞(V-ing)
- 受動的な意味 → 過去分詞
- 主節より前の動作 → having + 過去分詞
分詞構文への書き換え例
When I heard the news, I was very surprised.
そのニュースを聞いたとき、私はとても驚きました。
↓ 分詞構文に書き換えると
分詞構文への書き換え例
Hearing the news, I was very surprised.
そのニュースを聞いて、私はとても驚きました。
注意点
- 主語の一致:分詞構文と主節の主語は同じでなければなりません(独立分詞構文を除く)
- 時制の一致:分詞構文の動作が主節より前に起こる場合は完了形(having + 過去分詞)を使います
- 否定形:分詞の前にnotをつけます(例:Not knowing what to do, I asked for help.)
- 受動態:受動態の意味を表すには過去分詞を使います(例:Surprised by the news, she couldn't speak.)

分詞構文をマスターして、英語表現力をレベルアップしよう!
分詞構文は、英語の表現をより洗練されたものにする重要な文法項目です。この記事で学んだ5つの種類(時、理由、条件、譲歩、付帯状況)をマスターすることで、英文をより簡潔に、そして自然に表現できるようになります。
分詞構文は最初は難しく感じるかもしれませんが、実際の英文で見かけるたびに「これはどの種類の分詞構文だろう?」と考える習慣をつけると、自然と理解できるようになっていきます。
分詞構文をマスターすれば、TOEICなどの英語試験でも高得点を狙えるようになりますし、英語でのコミュニケーション能力も大きく向上するでしょう。この記事を参考に、ぜひ分詞構文を使いこなせるようになってください!

鈴木洋一朗 / Yoichiro Suzuki
大学では言語学(生成文法理論)を学び、学習塾や予備校で10年間英語教育に従事。その後、IT企業でマーケティング、プロダクト開発などを担当。2016年に当サイトを開設。